[CD]Mount Eerie - A Crow Looked At Me [epcd 101(7e.p.)]

[CD]Mount Eerie - A Crow Looked At Me [epcd 101(7e.p.)]

販売価格: 2,420(税込)

商品詳細

2015年初頭、創作のみならずレーベル&スタジオ開設と実りの多かったザ・マイクロフォンズからマウント・イアリへと改名後の最初のデケイドを総括した力作『サウナ』の発表とほぼ時を同じくして、フィル・エルヴラムと自身も音楽家であり国際的に評価を受けるドローイング/コミック・アーティストであるジュヌヴィエーヴ・カストレイ夫妻の間に待望の長子が誕生。しかし、同年5月、出産後不調を訴え検査を続けてきたジュヌヴィエーヴの病名が進行性の膵臓癌と判明、幸せの絶頂から一転、家族を悲劇が襲う。自身のアーティスト活動を完全にストップさせてのフィルの献身的な看護も実らず、壮絶な闘病生活の後、2016年7月9日ジュヌヴィエーヴは自宅にて逝去(享年35歳)。
失意の底にあったフィルだが、同年8月後半にはジュヌヴィエーヴの死をテーマとしたアルバムの制作を開始。フリート・フォクシーズやLAKEの各新作にも使われた自身所有のスタジオThe Unknown(元教会)ではなく、ジュヌヴィエーヴを看取った自宅のベッドルームに簡易なレコーディング環境を設置し、エレキギター、ベース、アコーディオンら彼女が残した楽器類を用いて録音。マウント・イアリのトレードマークの一つである奔流のごときウォール・オブ・サウンドを封印し、交流の深いウィル・オールダムのパレス・ミュージック名義の傑作『Arise Therefore』を青写真としたサウンドは、ジュリー・ドワロンとの傑作コラボレーション『Lost Wisdom』(2008)を彷彿させる、シンプルでメロディの美しさが極限まで抽出されたものとなっている。「死は現実」と歌い始めるM1以下、USインディはおろかポップ・ミュージック史上でも類を見ないようなパーソナルさの極北、サッデストコアとでも呼ぶべき歌世界が展開されていくが、これ見よがしのドラマティックさを排除したお馴染みのクルーナー・ヴォイスと抑制されたサウンドによって、アルバムが進むごとに穏やかな感覚をもたらし聴き手をカタルシスへと導いて行く。
近作同様に本作も北米ではアナログとデジタルのみで、CDでのリリースは日本限定。見開き紙ジャケットのインナー面にはジュヌヴィエーヴが最後の日々に残したドローイングが用いられている。アルバム・カバーにフィーチャーされた詩は、ジュヌヴィエーヴの作業机の壁に長年貼られていた米国の詩人ジョアン・カイガーンの「Night Palace(夜の宮殿)」。